三嶋大社参拝記

三嶋大社参拝記 — 富士の伏流水に育まれた歴史と祈りの地

静岡県三島市は、私の故郷でもあります。今回、久しぶりに帰省する機会があり、思い出深い三嶋大社を訪ねてきました。その参拝の様子を、町の風景とともにご紹介します。

三島の町並みとドーミーイン三島 富嶽の湯

三島はかつて、箱根越えの旅人を迎える宿場町として栄えた場所です。国道1号線は三嶋大社の前を通り、広小路の商店街へと続いていました。

50年前、子どもだった私にはその通りがとても広く、賑やかに映りましたが、今は落ち着いた観光の町という印象です。

今回宿泊したのは「ドーミーイン三島 富嶽の湯」。

天然温泉に浸かって旅の疲れを癒せるうえ、朝食のバイキングでは名物の桜エビ丼を自分で好きなだけ盛ることができます。香ばしい桜エビととろろの組み合わせが絶品でした。


桜川沿いを歩いて三嶋大社へ

ホテルから三嶋大社までは徒歩で約15分。桜川沿いをゆっくり歩いて向かいます。

三島の町は、富士山の伏流水が至るところに湧き出ており、桜川もそのひとつです。透明度の高い水が川底までくっきりと見え、川沿いには柳や花が揺れ、散策にぴったりの道です。

途中には「白滝公園」などもあり、三島湧水群の美しさを感じながら歩くことができます。観光客の少ないこのルートは、静かな三島の原風景を味わえるおすすめの道です。程なく、三島大社の入り口にたどり着きます。

歴史ある社殿と格式の高さ

境内の入口にある大きなしめ縄をくぐると、凛とした空気が漂います。

三嶋大社は、奈良〜平安時代の「延喜式」に記された式内社の一つで、古くから名神大社として格付けされた格式ある神社です。

明治4年(1871年)には「官幣大社」に列せられ、国の直轄神社として特別な地位を与えられました。

源頼朝が伊豆に流された際、ここ三嶋大社で源氏再興を祈願し、のちに成功を収めたことから、社領や神宝を寄進したと伝えられています。境内には「旗上弁財天」など、頼朝ゆかりの史跡もあります。

石畳の参道を進むと、立派な本殿が姿を現します。訪れた日も多くの参拝者が静かに手を合わせていました。

『延喜式神名帳』(927年)にもその名が記されており、少なくとも平安期にはすでに鎮座していたとされています。

神鹿園と神の使い

参拝を終え、境内を戻る途中にあるのが「神鹿園」。

この鹿たちは、春日大社から三島へ贈られたと伝えられ、神の使い(神使)として大切に飼育されています。

子どもの頃は小さな動物園のように感じていましたが、今見ればその存在が神聖な象徴であることがよくわかります。

樹齢1200年の金木犀

境内の一角には、国の天然記念物に指定されている「三嶋大社の金木犀」があります。

樹齢はなんと1200年。9月から10月にかけて2度咲きすると言われ、満開時(9月中旬から10月上旬)にはその甘い香りが遠く2里(約8キロ)先まで届いたという逸話も残っています。

私が訪れた時は残念ながら開花していませんでしたが、老樹ながらも力強く枝を広げる姿に、生命の力を感じずにはいられませんでした。


三嶋大社正面の鳥居へ

最後に正面の大鳥居の前に出て参拝を終えました。かつては交通の要衝として賑わったこの場所も、今はどこか懐かしい静けさに包まれています。

しかし、境内の神聖な雰囲気や歴史の重みは昔と変わらず、今も三島市の文化と信仰の中心であり続けています。

おわりに

三嶋大社はJR三島駅から徒歩約15分、伊豆観光の途中にも立ち寄りやすい立地です。

清らかな水と深い歴史、そして神々しい空気に包まれた神社で、心が洗われるような時間を過ごすことができました。

ぜひ、伊豆方面へお出かけの際は、三島の湧水とともにこの古社を訪ねてみてください。

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医師・アマチュア写真家

写真とオーディオを趣味としています。風景写真が主体ですが、最近は我が家のペットの写真を多く撮るようになりました。

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