ISOを上げる勇気:高感度手持ち撮影のメリットと実験結果

2025.11.28

■ はじめに

写真を撮る時、多くの人が「できるだけ低感度(ISOを低く)」と考えがちです。フィルム時代からの名残で、「低感度=きれいな写真」というイメージが強いからです。

しかし、デジタル時代では高感度をうまく使うことで、むしろ失敗の少ない写真が撮れるようになっています。今回は京都・嵯峨野の竹林で実際に行った実験をもとに、手持ち撮影で高感度を活用するメリットを紹介します。


■ フィルム時代の常識:低感度で撮るべきだった理由

フィルムは現像後のノイズを消すことができず、ISO50やISO100といった低感度フィルムの方が圧倒的に画質は良好でした。

しかし、

  • 低感度ほどシャッター速度が遅くなる

  • シャッターが遅いほど手ぶれが起きやすい

  • 手ぶれは後処理でどうにもならない

という問題があり、風景写真では三脚が必須とされてきました。旅行先や混雑した場所では三脚が禁止されていることも多く、「綺麗に撮りたいけどブレてしまう」というジレンマがありました。


■ デジタル時代の転換点:ノイズ処理の進化

デジタル化によって状況は一変します。

初期のノイズ処理技術は画像が「のっぺり」してしまう欠点がありましたが、近年はAI技術の発達により、

  • 細部の情報を残したまま

  • 暗部のザラつきを効果的に軽減する

ことができるようになっています。

そのため、多少高感度で撮影してノイズが出ても、後処理で十分補正可能になりました。


■ 実験:低感度ISO125と高感度ISO1000での比較

撮影場所:京都・嵯峨野竹林(非常に暗い環境)

カメラ:SONY A900(古いモデルでノイズ耐性は弱め)

レンズ:70mm

ノイズ処理:Capture One Pro 23、DXO PureRaw5

比較箇所:

  • A:暗い竹林部分

  • B:明るい部分


● ① 低感度(ISO125)で撮影

シャッター速度は 1/6秒。手持ちではほぼ確実に手ぶれが出る領域です。

  • ノイズ → ほぼ無し

  • しかし 写真全体がブレて輪郭が甘くなる

  • どれだけ現像してもこの「ブレ」だけは取り除けない

暗部(A)・明部(B)どちらでも同じ傾向で、

**「ブレている写真は復元不能」**という現実を再確認しました。


● ② 高感度(ISO1000)で撮影

シャッター速度は 1/80秒。70mmレンズの手ぶれ限界を十分クリア。

  • ノイズ → 特に暗部(A)では目立つ

  • しかし 輪郭のシャープさはしっかり残る

ノイズ処理後は、

Capture One / PureRaw ともに暗部のザラつきを効果的に抑え、

等倍拡大なら多少見えるが、通常の閲覧や印刷では十分に美しい仕上がりです。

明部(B)は元々ノイズが目立ちにくく、

高感度でもほとんど問題がありませんでした。


■ 実験から分かったこと

ブレは「致命的」だが、ノイズは「補正可能」

  • ブレた写真 → どんなソフトでも救えない

  • ノイズ → 近年のソフトで十分目立たなくできる

この差は非常に大きいです。


■ 結論:手持ち撮影では“ためらわずISOを上げる”

手持ち撮影でシャッター速度が手ぶれ限界を下回りそうなら、

迷わずISOを上げるべきです。

  • シャッター速度を確保する

  • 絞り値を維持できる

  • デジタル処理でノイズは軽減可能

  • ブレは絶対に直せない

特に風景撮影では、

ブレていないことが最優先です。


■ 追加:東福寺での実践例

今回の京都・東福寺の紅葉撮影(すべて手持ち)では

  • ISO 400 / f7〜10

  • ノイズ処理:Capture One Pro、DXO PureRaw5

  • カメラ:SONY A900(古いモデル)

にもかかわらず、

ほぼノイズを感じない仕上がりになりました。

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医師・アマチュア写真家

写真とオーディオを趣味としています。風景写真が主体ですが、最近は我が家のペットの写真を多く撮るようになりました。

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