ISOを上げる勇気:高感度手持ち撮影のメリットと実験結果

■ はじめに
写真を撮る時、多くの人が「できるだけ低感度(ISOを低く)」と考えがちです。フィルム時代からの名残で、「低感度=きれいな写真」というイメージが強いからです。
しかし、デジタル時代では高感度をうまく使うことで、むしろ失敗の少ない写真が撮れるようになっています。今回は京都・嵯峨野の竹林で実際に行った実験をもとに、手持ち撮影で高感度を活用するメリットを紹介します。
■ フィルム時代の常識:低感度で撮るべきだった理由
フィルムは現像後のノイズを消すことができず、ISO50やISO100といった低感度フィルムの方が圧倒的に画質は良好でした。
しかし、
低感度ほどシャッター速度が遅くなる
シャッターが遅いほど手ぶれが起きやすい
手ぶれは後処理でどうにもならない
という問題があり、風景写真では三脚が必須とされてきました。旅行先や混雑した場所では三脚が禁止されていることも多く、「綺麗に撮りたいけどブレてしまう」というジレンマがありました。
■ デジタル時代の転換点:ノイズ処理の進化
デジタル化によって状況は一変します。
初期のノイズ処理技術は画像が「のっぺり」してしまう欠点がありましたが、近年はAI技術の発達により、
細部の情報を残したまま
暗部のザラつきを効果的に軽減する
ことができるようになっています。
そのため、多少高感度で撮影してノイズが出ても、後処理で十分補正可能になりました。
■ 実験:低感度ISO125と高感度ISO1000での比較
撮影場所:京都・嵯峨野竹林(非常に暗い環境)
カメラ:SONY A900(古いモデルでノイズ耐性は弱め)
レンズ:70mm
ノイズ処理:Capture One Pro 23、DXO PureRaw5
比較箇所:
A:暗い竹林部分
B:明るい部分
● ① 低感度(ISO125)で撮影
シャッター速度は 1/6秒。手持ちではほぼ確実に手ぶれが出る領域です。
ノイズ → ほぼ無し
しかし 写真全体がブレて輪郭が甘くなる
どれだけ現像してもこの「ブレ」だけは取り除けない
暗部(A)・明部(B)どちらでも同じ傾向で、
**「ブレている写真は復元不能」**という現実を再確認しました。
● ② 高感度(ISO1000)で撮影
シャッター速度は 1/80秒。70mmレンズの手ぶれ限界を十分クリア。
ノイズ → 特に暗部(A)では目立つ
しかし 輪郭のシャープさはしっかり残る
ノイズ処理後は、
Capture One / PureRaw ともに暗部のザラつきを効果的に抑え、
等倍拡大なら多少見えるが、通常の閲覧や印刷では十分に美しい仕上がりです。
明部(B)は元々ノイズが目立ちにくく、
高感度でもほとんど問題がありませんでした。
■ 実験から分かったこと
✦
ブレは「致命的」だが、ノイズは「補正可能」
ブレた写真 → どんなソフトでも救えない
ノイズ → 近年のソフトで十分目立たなくできる
この差は非常に大きいです。
■ 結論:手持ち撮影では“ためらわずISOを上げる”
手持ち撮影でシャッター速度が手ぶれ限界を下回りそうなら、
迷わずISOを上げるべきです。
シャッター速度を確保する
絞り値を維持できる
デジタル処理でノイズは軽減可能
ブレは絶対に直せない
特に風景撮影では、
ブレていないことが最優先です。
■ 追加:東福寺での実践例
今回の京都・東福寺の紅葉撮影(すべて手持ち)では
ISO 400 / f7〜10
ノイズ処理:Capture One Pro、DXO PureRaw5
カメラ:SONY A900(古いモデル)
にもかかわらず、
ほぼノイズを感じない仕上がりになりました。



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