


弥陀ヶ原は立山黒部アルペンルートの中でも特に広がりのある高原で、秋には一面が色鮮やかな紅葉に包まれます。写真の中央奥に見えるのは奥大日岳(2611m)。立山三山のひとつ大日岳の奥に位置するこの峰は、立山連峰のなかでも雄大な姿で知られています。
手前の高原にはナナカマドやダケカンバ、ミズナラなどが混在し、赤・橙・黄と変化に富んだ色合いを見せます。10月上旬から中旬にかけてが見頃で、立山黒部アルペンルート沿いでも特に紅葉が美しいスポットのひとつです。澄んだ空気のなかで遠くの山並みと紅葉のコントラストが際立ち、立山の秋の深まりを静かに感じさせてくれます。
弥陀ヶ原の秋を象徴するナナカマド。燃えるような赤が一面に広がり、常緑の針葉樹の深い緑と鮮やかな対比を見せています。足元には笹原が広がり、湿原特有の植生とともに立山の秋の豊かさを伝えてくれます。紅葉が最盛期を迎えるこの瞬間は、自然が織りなす最も華やかな表情のひとつです。
この写真では、真紅のナナカマドと黄金色に染まるミネカエデが見事な対比をなし、倒木が自然の営みと時の経過を象徴するように立っています。高原の風が通り抜け、冷たい空気に包まれたこの季節、植物たちは一斉にその色彩を最も美しく輝かせます。人工の手の入らない自然のままの姿が、立山の高原に生きる生命のたくましさと儚さを同時に伝えてくれます。