立山は冬の訪れとともに白銀の世界へと変わります。雪に覆われた雄山や峰々は、陽光や夕暮れの光を受けて刻一刻と表情を変え、荘厳な姿を見せてくれます。みくりが池の水面に映る静かな山影、雷鳥沢を流れる清流と雪の稜線、そして富山市街地から望む夕映えの峰々。どの風景も、厳しい自然の中に潜む美しさを映し出しています。
この6枚の写真は、冬の立山が見せる多様な表情を切り取ったもので、山岳の雄大さと、人々の暮らしや登山者の営みが交わる瞬間を伝えています。
•光と色彩
雪面は時間帯によって青白くも紫がかっても見えます。特に朝夕の斜光は雪を染め上げ、幻想的な色合いを引き出すため、撮影時間の選定が重要です。
•スケール感の演出
広大な雪原の中に登山者や山小屋を写し込むことで、山のスケールと人の小ささが際立ち、写真に奥行きが生まれます。
•映り込みの活用
みくりが池の静かな水面は「冬の鏡」として山影を映します。風の少ない瞬間を狙い、PLフィルターを調整することで映り込みの透明感を高めました。
•構図の工夫
雷鳥沢や谷筋は対角線を意識した構図にすることで、視線を山の奥へ導き、自然の迫力を効果的に伝えられます。
•季節の境目の表現
初冬の雷鳥沢のように、雪と岩、枯草が混在する場面では「秋から冬への移ろい」を象徴的に写し取ることを意識しました。
♦アルペンルートは毎年4月中旬に開通し、11月下旬から翌年4月中旬までは積雪のため閉ざされます。