富山県南部に位置する神通峡は、深い渓谷と澄んだ流れが織りなす自然美で知られています。秋になると、山肌を覆う木々が赤や黄色に染まり、渓谷全体が錦織のように華やぎます。水面にはその彩りが映り込み、静寂の中に四季の移ろいを閉じ込めたかのような景観を見せてくれます。今回の4枚では、峡谷を流れる川面の反射、山肌を埋め尽くす紅葉、そして翡翠色に輝く水の神秘的な表情を、それぞれ異なる視点から切り取りました。
秋の紅葉を鮮やかに描くため、直射日光の強い時間帯は避け、やや柔らかい光がまわる時間を狙いました。曇天や午前中は、色が落ち着いて写り、山肌全体のグラデーションを表現できます。
川の流れが緩やかな場所を選び、風が収まった瞬間を狙うことで、鏡のような映り込みを得られます。PLフィルターを調整して反射の度合いをコントロールし、紅葉と水面の両方を活かしました。
横位置では渓谷の広がりや紅葉の密度を強調し、縦位置では水面と岩壁のコントラストを表現。望遠で斜面を切り取ると、色彩の重なりが絵画的に映し出されます。
緑の常緑樹と赤・黄の広葉樹の対比を意識してフレーミングしました。とくに青緑色の水と紅葉の補色関係は、自然が生み出す最良の配色の一つです。